概要
今回は、Gentoo Linuxをインストールする(UEFI + LVM + Xfce + 無線LAN)で構築したGUI環境をカスタマイズして快適にします。
その時に構築した環境は、startxでxfceの起動を確認した程度で、全て初期設定のままです。こんな環境では普段使う気にもなりません。
今回の大まかなカスタマイズ手順と内容は以下の通りです。
- 初期設定(キーボードレイアウト・日本語環境設定)
- 機能追加(Webブラウザ、メールクライアント等)
- 外観カスタマイズ(macOS風)
Before & After
カスタマイズでどのように変わるのか、ビフォーアフターを先に紹介しておきます(外観)。


このようにモダンなmacOS風へと生まれ変わります。それでは作業に入っていきます。
環境
- 富士通 LIFEBOOK AH54/D 2011
- ホストOS(Gentoo Linux)
- デスクトップ環境(Xfce)
初期設定
キーボードレイアウトの設定
CUI環境で日本語配列の設定はしていたものの、GUI環境ではデフォルトでUS配列が指定されているので、設定を変更していきます。
今回はGentoo Wikiで紹介されているsetxkbmapを採用します。このコマンドを使用することで、キーボードモデルの指定、レイアウト等を変更することができます。
ではemergeでパッケージをインストールします。
$ sudo emerge -a setxkbmap
インストールが完了したら、現在の設定を確認しておきます。
$ sudo setxkbmap -query
rules: evdev
model: pc105
layout: us
すぐにコマンドで直接変更してもいいのですが、それだと再起動した時に元に戻ってしまいます。
なので、startxコマンドでX Window Systemが起動した際に参照される、~/.xinitrcファイルに追記します。こうすれば毎回設定せずに済むので圧倒的に楽です。
$ vi ~/.xinitrc
setxkbmap jp -model jp106 # 追記
exec startxfce4
設定した後は、いったんログアウトして再びstartxコマンドを実行して、設定を反映させます。
日本語環境の設定
日本語配列に対応したものの、まだ日本語入力ができず、適切に日本語が表示されずに文字化けしたりします。
まずは日本語フォントをインストールします。
Gentoo Wikiには複数の選択肢が紹介されていますが、自分はIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が作成したフォントを採用します。
$ sudo emerge -a ja-ipafonts
次にIME(Input Method Editor)と日本語の入力メソッドをインストールします。
普段キーボードで何か入力する時は、入力メソッドと呼ばれるソフトウェアが機能するおかげで、文字入力ができます。
日本語入力をする場合、英語の入力メソッドを日本語の入力メソッドに変換する必要があり、その変換を行ってくれるのがIMEです。IMEにはibus、scim、fcitxなどの種類がありますが、今回はibusを採用します。
また、現時点での環境には英語の入力メソッドのみしかないので、日本語の入力メソッドも必要になります。これにも複数の種類がありますが、今回はanthyを採用します。
ではibusとanthyのセットを以下のパッケージからインストールします。
$ sudo emerge -a ibus-anthy
ibusデーモンが自動で起動するように、.xinitrcに以下の四行を追記します。exec startxfce4の後にibusデーモンの設定を追記すると、設定が読み込まれず、反映されないので注意です。
$ vi ~/.xinitrc
setxkbmap jp -model jp106
export GTK_IM_MODULE=ibus # 追記
export QT_IM_MODULE=ibus # 追記
export XMODIFIERS=@im=ibus # 追記
ibus-daemon -drx # 追記
exec startxfce4
ログアウトして、再びstartxでGUI環境に入ります。
次に、以下のコマンドでibusに日本語の入力メソッドを登録し、切り替えができるようにします。
$ ibus-setup
Input MethodのAddボタンを押し、Japanese – Anthyを探して追加登録します。

自分の場合は、英語(US)の入力メソッドと日本語の入力メソッドの二つ登録しています。入力メソッドを切り替えたい時は、Superキー(Windowsキー) + Spaceキーを押して瞬時に変更できるようにしています。
機能追加
今回の機能追加におけるソフトウェアの選定は、Gentoo公式が推奨しているソフトウェアの一覧を参考にしました。
Recommended applications – Gentoo Wiki
GUI環境に必要な様々なソフトウェアを、複数の選択肢とともに紹介しているので非常に参考になりました。
スクリーンショット機能の導入
この記事を書くにあたってスクリーンショット機能が必要だったのでインストールします。今後このPCで記事も書くと思うので自分には尚更必要です。
xfce-extra/xfce4-screenshooter – Gentoo Packages
$ sudo emerge -a xfce4-screenshooter
インストールが完了したら、以下の場所からスクリーンショットを行うことができます。
<Applications>
→<Accessories>
→Screenshot
Ristrettoの導入
RistrettoはXfce用に開発されている画像ビューアです。スクリーンショットができるようになったものの、その画像を表示するビューアがなかったのでインストールします。
media-gfx/ristretto – Gentoo Packages
$ sudo emerge -a ristretto
以下の場所から起動することができます。
<Applications>
→<Graphics>
→Ristretto Image Viewer

Firefoxの導入
Webブラウザは必須です。動作が軽いという点を重視しているので、Firefoxを導入します。
$ sudo emerge -a firefox
インストールが完了すると、既にデフォルトのWebブラウザに設定され、Web Browserをクリックするだけで起動できます。
<Applications>
→<Web Browser>

Thunderbirdの導入
メールクライアントも必須です。trogitaというメールクライアントが超高速に動作するらしいのですが、情報が少ないので有名なThunderbirdを採用します。
thunderbirdはビルドにとてつもない時間がかかるようで、今回は時間短縮用にプリコンパイルされたパッケージをインストールします。
$ sudo emerge -a thunderbird-bin
Firefoxのように勝手にデフォルトに指定されなかったので、以下の場所から直接Thunderbirdを探して登録します。
<Applications>
→<Settings>
→<Preferred Applications>
→<Mail Reader: thunderbird-bin
これでMail Readerを開けば、Thunderbirdが起動します。

外観カスタマイズ
ここからは一番大事な外観のカスタマイズをしていきます。目指せmacOS風。
以下のサイトに多種多様なテーマやアイコンがあるので、基本的にここからダウンロードします。

テーマの変更
まずは全体的なデザインや色のセットであるテーマを変更します。いい感じのmacOS風なテーマを探し、ダウンロードします。

ダウンロードしたテーマは、最終的にホームディレクトリ直下の.themesディレクトリに配置しなければいけないので、最初に作成しておきます。
$ mkdir ~/.themes
次にダウンロード先のディレクトリに移動し、tarボールを解凍&展開し、.themesディレクトリに移動させます。
$ cd Downloads
$ tar -xvf Mc-OS-CTLina-XFCE-Dark.tar.xz
$ mv Mc-OS-CTLina-XFCE-Dark ../.themes
これで以下の場所から新しいテーマを選択します。
<Applications>
→<Settings>
→<Appearance>
→<Style>
→Mc-OS-CTLina-XFCE-Dark
すると、このように変化します。どこがmacOS風だという感じですが、まだ設定は途中です。

ウィンドウマネージャのテーマも新しいテーマに変更します。また、ボタンの配置をmacOS風に左に寄せます。
<Applications>
→<Settings>
→<Window Manager>
→<Style>
→Theme: Mc-OS-CTLina-XFCE-Dark
→Button layout: Active&Hiddenをカスタマイズ

これでウィンドウはmacOSに近づきましたが、アイコンがまだまだです。
アイコンの変更
macOS風なアイコンはあるのか心配でしたが、本家そのまんまのアイコンがありました。笑

新しく入手したアイコンは、最終的にホームディレクトリ直下の.iconsディレクトリに配置しなければならないので、最初に作成しておきます。
$ mkdir ~/.icons
ではテーマの時と同様に展開して移動させます。
$ cd Downloads
$ tar -xvf Os-Catalina.tar.xz
$ mv Os-Catalina-icons ../.icons
アイコンの設定は以下の場所から行うことができます。新しいアイコンに変更します。
<Applications>
→<Settings>
→<Appearance>
→Icons: Os-Catalina
すると、このように一気にmacOS感が増します。

壁紙の変更
デフォルト背景の壁紙とあまりにもマッチしていないので、xfceの壁紙をダウンロードして変更します。

<Applications>
→<Settings>
→<Desktop>
→<Background>
→Wallpaper for my desktop: 壁紙選択
するとこのようにビシッと引き締まった外観になります。

スタイリッシュ設定
まだ終わりではなく、普段使っているmacbookの設定に近づけたいため、よりシンプルにすっきりさせます。
まずデスクトップ上のアイコンを全て消します。
<Applications>
→<Settings>
→<Desktop>
→<Icons>
→Default Icnons: 全てチェック外す
次にDockを常に表示するのではなく、カーソルを当てたときだけ表示するように設定します。
<Applications>
→<Settings>
→<Panel>
→<Panel2>
→<Display>
→<General>
→Automatically hide the panel: Always
カスタマイズ完了
以上で全てのカスタマイズが終了しました。
何もウィンドウを開いていない時の外観はこのような感じです。

ウィンドウを開いた時の外観はこのようになります。

最後に
今回macOS風にGUI環境を整えてみましたが、非常にサクサク動くことに感動するのはもちろん、自分で必要な機能追加し、外観をカスタマイズしたことでより愛着がわくようになりました。
普段はCUI環境でコマンドの学習をしたり、遊んでいるので、GUI環境を頻繁に使うことはないかもしれません。
ですが、startxコマンド一発でいつでもこの環境に入れるので、利用の幅がとても広がったかなと思います。
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